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PTOとは何?
PTO(Power Take Off)とは、トラックのエンジンやトランスミッションで発生した動力を取り出し、油圧ポンプや補機類へ伝達するための装置です。荷台を持ち上げるダンプカー、荷役作業を行うユニック車、ミキサー車のドラム回転など、多くの作業車で欠かせない機能となっています。
※この動画は YouTube「MEILLER Kipper」様の公開動画を参考として表示しています。
PTOはエンジンやミッション内部のギアと連動し、回転を油圧ポンプやシャフトへ伝えることで油圧シリンダーや各種補機を作動させます。車両停止中でも装置を動かせる点が特徴で、建設・物流現場などで広く活用されています。
PTOの必要性やメリット
PTO(Power Take Off)は、トラックのエンジンから外部装置へ動力を伝達し、荷役・昇降・回転などの作業を実現するための重要な機構です。とくに油圧機器を使用する車両では、PTOが作動しなければ本来の役割を果たせません。ここでは、PTOが必要とされる理由と導入によるメリットを整理して紹介します。
【PTOの主なメリット】
- 油圧ポンプを駆動し、荷台昇降・ブーム操作・ドラム回転など作業装置を安定して動かせる。
- アイドリング状態でも装置を動かせるため、効率的な作業が可能。
- 外部動力装置を不要にし、車両のコンパクト化・作業性向上に貢献。
- 電動方式と比べて耐久性が高く、長時間連続運転にも対応しやすい。
- 必要に応じてオン/オフを切り替えられ、燃費ロスを抑えられる。
PTOは、ユニック車・ダンプカー・ミキサー車など、多くの作業用トラックにとって欠かせない装置です。作業中は油圧の安定性が求められるため、エンジン回転を適正に保ち、トランスミッションや油圧系統への負荷が偏らないように注意が必要です。正しい起動手順とこまめな点検を行うことで、PTO本来の性能を最大限に引き出すことができます。
PTOが搭載されているトラック
PTOは、荷役・運搬・建設作業などの現場で特殊な機能を求められるトラックに幅広く搭載されています。ここでは、代表的な3種類の車両について、それぞれのPTOの役割や特徴を解説します。
①ユニック車
ユニック車(クレーン付きトラック)は、荷台前方に設置されたクレーンを操作するためにPTOで油圧ポンプを駆動します。エンジンの回転力を油圧に変換し、ブームの伸縮・旋回・吊り上げ動作を安定して行える点が大きな特徴です。 ユニック車では作業中の安全性が求められるため、PTOの作動中はエンジン回転数が一定に保たれ、装置の動きが滑らかになります。荷役作業の正確性と効率性を高めるため、車両側の制御システムと連動し、過負荷防止機能や安全装置が組み込まれているケースもあります。
さらに、ユニック車はPTOの種類によって動作感が変わることがあり、トランスミッションPTOを採用する車両が多い傾向です。これは、ミッション側から安定した回転を取り出すことで、油圧ポンプへの出力が安定し、細かな操作がしやすいためです。建築現場や運搬現場で欠かせない車両として、PTOは極めて重要な役割を担っています。
②ダンプカー
ダンプカーでは、荷台(ダンプベッセル)を持ち上げる油圧シリンダーを作動させるためにPTOが必須となります。PTO作動中は油圧ポンプが動き、エンジン動力を利用して荷台を昇降させる仕組みです。
ダンプ作業は短時間で大きなトルクが必要になるため、PTOは強靭で信頼性の高い構造が求められます。特に積載量の大きい大型ダンプになるほど油圧圧力が高くなるため、専用のヘビーデューティーPTOが採用されています。 PTOが正常に作動しない場合、荷台が途中で止まったり油圧ポンプが過熱するリスクがあるため、日常点検が非常に重要です。
③ミキサー車
ミキサー車(生コン車)は、回転ドラムを常に一定速度で回し続ける必要があります。このドラムを駆動しているのがPTOと油圧モーターの組み合わせです。
ドラムの回転が止まるとコンクリートが固まってしまうため、PTOは安定した出力を維持することが重要です。また、ドラムの回転速度を調整するための油圧制御もPTOと連動し、送り出し(排出)・撹拌(ミキシング)をスムーズに行うよう設計されています。
PTOの起動方法
PTOの起動方法は大きく「スイッチ式」と「レバー式」の2種類に分かれています。車種や年式、搭載されている作業装置によって方式が異なり、それぞれに特徴やメリットがあります。
スイッチ式
スイッチ式は、運転席のダッシュボード付近に設置されたPTOスイッチを押すだけでPTOを作動できる方式です。近年のトラックでは主流の方式で、操作が簡単で安全性が高い点が特徴です。
スイッチ式は、電気信号を使ってトランスミッションPTOや油圧ポンプへ作動指令を送る仕組みです。誤作動を防ぐため、以下のような安全条件が設定されている車両もあります。
- 車両停止中でないとPTOが入らない
- サイドブレーキがかかっている状態のみ作動
- ドアや安全装置の状態をECUが監視し、条件を満たさないと作動不可
ワンタッチで操作できるため、ユニック車やミキサー車など、頻繁にPTOをON/OFFする車両に向いています。現場作業の効率化はもちろん、エンジン回転数を自動調整するアイドルアップ機能と連動するケースもあり、より安定した油圧供給が可能です。
レバー式
レバー式は、運転席や座席横に配置された手動レバーを操作してPTOをかみ合わせる仕組みです。昔ながらの方式で、ダンプカーや一部の特殊車両では現在も採用されています。
レバー式のメリットは、構造がシンプルで故障が少ない点です。レバーを直接機械的に動かしてギアをかみ合わせるため、電気信号を使用するスイッチ式に比べて信頼性が高く、過酷な現場でも安定して作動します。
ただし、レバーの操作にはコツが必要で、以下のような注意点があります。
- エンジン回転数が高い状態でかみ合わせるとギア損傷の恐れ
- 半クラッチ状態ではPTOが入りにくい場合がある
- 操作位置が座席横で、体勢により操作しづらいこともある
そのため、レバー式はダンプカーのようにシンプルなON/OFF操作で完結する作業車に向いています。耐久性と整備性を重視するユーザーからは、今でも根強い人気があります。
PTOの主な種類
PTOにはいくつかの種類があり、動力を取り出す位置や用途によって分類されます。ここでは代表的な3種類のPTOについて、それぞれの特徴や仕組みを解説します。
①トランスミッションPTO
トランスミッションPTOは、その名の通りトランスミッション(変速機)の側面に装着され、ミッション内部のギアから動力を取り出す方式です。最も一般的なPTOで、ユニック車やミキサー車、タンクローリーなど幅広い作業車に採用されています。
ミッション内部のギアの回転を直接取得するため、安定した油圧供給が可能で、連続運転や高負荷作業にも強い点が特徴です。エンジン回転数に応じて油圧出力を微調整できるため、繊細な操作が求められるユニック作業に適しています。
また、トランスミッションPTOは車両メーカーやミッション型式ごとに専用設計されている場合が多く、装着には適合確認が必須です。適切なPTOを選ばないとギア比が合わず、油圧ポンプの能力を十分に発揮できないことがあります。
②フライホイールPTO
フライホイールPTOは、エンジン後方に取り付けられたフライホイールの回転を直接利用して動力を取り出す方式です。ミッション側ではなくエンジンに直結して動くため、より高いトルクを必要とする車両や、大型作業装置を搭載した車両に適しています。
フライホイールはエンジンの回転エネルギーを蓄える部品であり、その回転をPTOで取り出すことで、油圧ポンプや補機類へのパワー供給が安定します。特に大型ダンプや重機運搬車など、瞬間的に大きな力が必要な作業に向いています。
ただし、フライホイールPTOは装着難易度が高く、車両によってはスペース的に取り付け不可能な場合があります。また、連続使用時にはエンジンへの負荷が増えるため、冷却系統の状態を良好に保つことが必要です。
③フルパワーPTO
フルパワーPTOは、エンジンの最大出力をほぼそのまま油圧装置に伝達できる高性能タイプのPTOです。大型クレーン車や高圧ポンプ車、消防車など、高負荷の作業を行う特殊車両に採用されています。
エンジンの出力を直接利用するため、非常に強力な油圧を得られ、大型シリンダーの動作や大型ドラムの回転など、通常のPTOでは対応しきれない作業にも余裕を持って対応できます。
一方で、フルパワーPTOは装置・配管が大きく複雑になり、コストも高くなります。また、安全装置や制御システムも高度化しているため、運転や整備には専門知識が必要です。車両側の負荷も大きいため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
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2025.12.03
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